霽青描金游魚転心瓶

霽青描金游魚転心瓶

国家宝蔵

国宝紹介

2019年、国立故宮博物院に所蔵されている清朝乾隆時期の「霽青描金遊魚転心瓶」は国宝として指定され、世間の注目を集め、人々は清朝の陶磁器工業の発達に感嘆した。

「霽青描金遊魚転心瓶」の完成品は清朝の乾隆時期に、官窯督陶官唐英(1682-1756)が監督・製造した。乾隆帝はこのような「機関型」の器物を「玲瓏巧工磁器」と呼んだ。そのサイズは大半が40cm以下であり、ペアを成している。例えば「霽青描金遊魚転心瓶」は、1対2個、高さ23.1㎝であり、内外2層に分かれている。さらに細かく、内瓶・外瓶の肩部と腹部に分かれ、それぞれを焼いた後で組み立てた。

内部にある回転の仕掛けは、首部分に位置した。回転の原理は、内瓶の下の溝が外瓶の底部突起物をカバーしており、ボトルの首を回転すれば、内瓶はともに回転するという仕掛けである。そして外瓶の開光(透かし彫りの窓)を通し、内瓶の彩色を見られる。転心瓶を自由自在に回転させるためには、部品の寸法ごとに精密に計算し、試験を繰り返し、窯の温度を制御しなければならない。さもなければ、器全体は変形し、それまでの努力は水の泡となってしまう。

国宝鑑賞

   この作品はセットボトルの造形である。首は短く、肩は広く豊かで、腹は狭く収まり、足は低くなっている。そして、内外の2層に分かれている。
   外瓶には、4つの円形の耳が飾られ、霽青色の釉(藍釉)がかけられ、金色の線が装飾されている。瓶の口には六角形の紋が描かれ、花の模様が描かれている。そして首には草紋の宝相花が飾られ、外側にはセルロイドの花が付けられている。腹壁の飾りは番蓮と花葉紋であり、4つの開光(透かし彫りの窓)があり、内瓶が見える。
   内層は、浅青湖の緑色釉薬をかけて湖水を表現している。湖水の中にパステルにより水草が描かれている。さらに白色、ピンク色の落花(水に落ちた花びら)と、8匹の色が異なった金魚が描かれている。最下部の圏足には、一回りの変形蓮弁紋が描かれている。

   外瓶の腹部には4つの透かし彫りの窓が作られ、それは「開光」と呼ばれる。瓶を見る者は、首部分を握って回転させられる。外瓶の開光を通し、内瓶には水草と魚の模様が描かれているのが見える。そして、魚が悠々と泳ぐ様子が見てとれる。その姿は走馬灯のようであることから、「転心瓶」と呼ばれている。

   底にも青緑色の釉が施されており、「大清乾隆年製」と、青花色で記された篆書の款識(製造時期の印章)がある。

   金魚には、ピンク・白・オレンジ・黒などの色がある。花は主に白色であるが、少数はピンク色である。少し薄いピンク色の花びらを飾り、芯は金色の釉で描かれている。水草の骨幹には黒い線が描かれ、深緑色の釉により、葉が見えるような効果を作り出している。

外瓶の開光を通し、内瓶に描かれた水草や金魚が目の前を泳いでいるのが見える。

外瓶の開光から、内瓶に描かれた色が異なる金魚が、浅緑色の湖水の中で悠然とたわむれている姿が見てとれる。

   外瓶の開光を通し、内瓶に描かれた金魚が、青緑色の湖水にいる様子が見える。金魚が悠々と、水草や落花の間を泳いでいるように見える。

3D ギャラリー

参考資料

    1. 余佩瑾、「唐英監造転心瓶とその関連問題」『故宮学術季刊』第31期第4巻(2014年)、ページ205-249。
    2. 林柏亭編集、『国宝菁華:器物編』、台北:国立故宮博物院、2006。
    3. 蔡玫芬編集、『精彩100:国宝総動員』、台北:国立故宮博物院、2011。
    4. 余佩瑾編集、『摶泥幻化:院蔵歴代陶磁器』、台北:国立故宮博物館院、2014。

所蔵機関

1925年10月10日に故宮博物院が設立された。中国清朝の皇室に収蔵されていた書画文物は数万点を数え、北京の紫禁城見学も一般開放された。1937年に日中戦争が始まり、故宮博物院の文物は南方に移転され、1945年戦後になりもとに戻った。1948年国共内戦のため、故宮博物院の所蔵品は台湾に移転され、台中霧峰北溝に一時的に保管された。その後台北外双渓に新館が建設され、1965年8月に完成し、11月に正式に外部に向けて開放された。そして2015年12月に、嘉義太保にある南院が正式に開館した。

故宮博物院のコレクションは、宋・元・明・清王朝の宮廷コレクションが元となっており、その後中央博物院準備処の運台文化財に統合された。収集・購入された文化財は約数十万点となり、続々とデジタル化された。それらのファイルは「故宮所蔵資料検索システム」に保管された。その中の一部の文化財のデジタルファイルは、すでに「オープンデータ(Open Data)」サイトに保存され、CC(クリエイティブ・コモンズ) に関し、適正な再利用の促進のために公共に向けて提供しています。

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