北魏天安元年(西暦466年)曹天度作った九層千仏石塔

北魏天安元年(西暦466年)曹天度作った九層千仏石塔

国家宝蔵

国宝紹介

国立歴史博物館所蔵の、「北魏天安元年(西暦466年)曹天度作った九層千仏石塔」とは、北魏献文帝時代の宮内小官曹天度が、亡き父と息子のために平城(現在の山西省大同市)で制作したものである。高さ153.1cm、重さ約400kgで、塔座、塔身、塔刹の3部からなり、積み重なるように石灰岩彫刻が施され、大小合わせて1381体の仏像彫刻を見ることができる。塔全体の配置は極めて整然として、階層も明瞭で、仏像彫刻の技は手慣れており、当時の北魏の仏教造像技術のレベルの高さを十分に見てとることができる。

石塔は、もともと山西省朔県の崇福寺弥陀殿に置かれていたが、戦乱のため、最上部の塔刹は中国山西省朔州市文物保管所にあり、塔身と塔座は、第二次世界大戦後に日本から中華民国政府に返還された。

本件は伝世品として最古の中国閣楼式仏塔で、しかも年代がはっきりしており、西元460年から480年にかけての時期は北魏彫刻の黄金時代で、かつ中国石刻芸術の最高峰でもある。本件は独立な立体彫刻であり、その制作はまさにこの時代に当たっており、その地位と価値は、言うまでもない。

この塔は内容が豊富であり、技法も複雑かつ精巧で、まさに国の宝である。世界的にも知られ、芸術史・建築史上の価値も高いだけではなく、塔座には造塔記が刻まれており、仏教史、文化史、社会史においても大変重要なことから、2011年に国宝に指定された。

国宝鑑賞

塔は木造の屋根裏部屋を模した方形の仏塔であり、9階建てで、3つの部分に分けられている。
1段目は塔座で、2段目は第1層から第7層までの塔身で、3段目は第8層から第9層までしである。塔刹装飾品は中国に残されている。

第1層の各面中央には仏龕が刻まれ、四面それぞれ違う仏像が彫られている。
写真の面は「二仏が並んで坐す」多宝仏と釈迦牟尼仏である。

第1層の各面中央には仏龕が彫られており、写真の面は交脚の弥勒菩薩と二尊の脇侍菩薩である。

塔身第2層から上の4面には、千仏坐像が整然と刻まれている。龕像は小さいが、顔や着衣のひだに、雲岡石窟の影響が見られる。

塔座は平面彫刻で飾られており、正面には3つの欄からなる比丘供養図があり、香炉、供養比丘、吼獅子、宝蓮が刻まれている。


比丘供養図の拓本。

塔座の左右には、男女の供養者が刻まれている。


男女の供養者の拓本。

これは拓本だが、塔座の背面には126文字の造像題記が陰刻され、その左右には供養者が彫られている。

参考資料

所蔵機関

国立歴史博物館は、1955年に国民政府の台湾移転後初めての公共博物館として設立された国立歴史文物美術館を前身としており、1957年に、正式に国立歴史博物館と改称された。

所蔵資料は、初期には教育部から移管された戦後日本からの返還古物および台湾に移された旧「河南博物館」所蔵文物を基盤としていたが、その後各界のご厚意による寄贈や購入などにより年々その数を増し、現在は書画・版画・銅器・陶磁器など19種類5万件余りとなっている。 その顔ぶれは多彩で、古きもあれば新しきもあり、庶民性と日常性を備えている。これら貴重な資料は、すべて「国立歴史博物館所蔵資料検索システム」で見ることができる。

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