石製虎首人身正座像
石製虎首人身正座像
国家宝蔵
国宝紹介
河南省安陽殷墟1001号商王大墓からは、多くの精巧で美しい大理石彫刻が出土した。中央研究院歴史語言研究所が所蔵する「石製虎首人身正座像」も、同大墓から出土したものである。虎形彫像は高さ37.1㎝、重さ28.5㎏であり、背面溝から判断し、これは建築部材と推定されている。大理石は加工しやすく、色が均一であり、材質が細密などの特性があり、彫刻の上では高級な原料である。
殷墟の職人は、当時大理石材のこれらの特性を十分に把握しており、このように生き生きとした想像力豊かな大型動物の像を彫刻することができた。同作品は、2009年に中華民国(台湾)文化部より国宝として指定された。
国宝鑑賞
この虎の像は、ひざまずいて、正座の形に彫刻されている。頭部はやや上を向き、口を開けて鋸状の歯と犬歯が露出し、「目」の字の形をした目がつく。
鼻の穴は天を向き、耳は扇形である。手は爪の形をして、両膝の上に置かれ、体全体に渦巻き紋が飾られている。
背後には縦方向の溝があり、上下に背部を貫いている。
その溝は上が浅くて下が深くて垂直ではなく、底面から約93度に傾いており、建物に埋め込まれた設計と推定されている。荒された墓から出土したため、元来の経緯が失われてしまい、実際の使用方法を確認することができなかった。
彫像の側面である。左右の腕には瓶形角龍紋が刻まれている。
細部をよく見ると、虎の目を写実的に彫るのではなく、甲骨文の「目」の字が彫られ、おでこ部分の中心には菱形紋が飾られている。
3D ギャラリー
参考資料
- 国家文化財ネットワーク(国家文化資産網)
- 考古資料デジタルデータベース
- 「Eye of the Tiger:虎の目は「目」の字」『文物館周記』057。
- 李永迪編、『殷墟出土器物選粋』、台北市、中央研究院歴史語言研究所、2009。
- 陳永発編、『中央研究院数位所蔵精品図録』、台北市、中央研究院歴史語言研究所、2012。
所蔵機関
中央研究院歴史語言研究所は1928年に、中国の広州で創立されました。1948年冬に台湾に移転し、1954年に南港の現所在地に落ち着きました。本所はいくつかの学科で構成されており、歴史学・考古学・人類学・文字学などの研究分野が含まれています。本所の研究成果は、国内外の学界からも重視されています。
歴史語言研究所が所蔵する文物は合計14万点余りです。その中には、当所が中国大陸に所在していた時期に発掘・採集した考古遺物約12万点余りが含まれています。他には、居延漢簡が約1万点、中国少数民族文物と文書が2千点余りあります。他にも、内閣大庫明清文書約31万点が収蔵されています。
それらの所蔵を展示するために、1986年より歴史文物陳列館が設置されました。館内の展示は、伝統的な博物館が精品のみを陳列するのと異なり、学術研究成果を中心として展示されています。展示内容には、中国の商周から戦国時代までの遺跡から出土した文物・居延漢簡・貴重な図書資料・内閣大庫の明清檔案・中国西南部の民族文物・豊碑の拓片・台湾考古資料などが含まれています。文物展示と、歴史文物陳列館が主催するイベントを通じ、本所による長年の研究成果を、一般社会の方々とシェアできるようになっています。