皇明監国魯王墓誌
皇明監国魯王墓誌
国家宝蔵
国宝紹介
「皇明監国魯王墓誌」国立歴史博物館蔵。
1959年8月19日に金門旧金城城東で採石のために発破作業を行った際に、地下深く埋もれていた石碑が発見され、洗浄を繰り返したところ、碑には「皇明監国魯王墓誌」の文字と、魯王の事跡が刻まれていた。では、魯王とは誰か。魯王とは、明朝の宗室(王族)、朱以海(1618-1662)のことで、1644年に李自成により北京が陥落した後、南方へ逃がれ、1645年に国政代行者である「監国」を名乗ったが、1651年に金門に移住し、その2年後に「監国」という称号を捨て、1662年に喘息により痰を喉に詰まらせてこの世を去った。
当時、魯王碑が出土すると、学界で多くの議論を呼んだが、この石碑は、魯王の事跡の空白を埋めるものとして、また魯王に関する文書記録の誤りを正すものとして、明鄭時代の台湾史研究の貴重な現存史料であり、特別な歴史的意義と史料的価値を持っている。
さらに、墓誌の内容には、魯王の史実を伝え誤伝を正す文献として、特別な歴史・文化及び学術上の価値があることから、2011年に国宝に指定された。
参考資料
- 劉占炎、「皇明監国魯王墓記発見」『台湾風物』10:1、p. 31-33、1960。
- 胡適、「跋金門新発見『皇明監国魯王墓記』」『台湾風物』10:1、p. 38-41、1960。
- 台南市文献会、「魯王圹志発見後台南市文献会意見七点」『台湾風物』10:1、p. 50-54、1960。
- 黄典権、「『皇明監国魯王圹志』研究」『台南文化』7:1、p. 1-76、1960。
- 陳春声、「礼法の正統と政治的現実の間で——金門における魯王の活動とそれに関する歴史的記憶の研究」、金門県文化局編『2012年金門国際学術シンポジウム論文集』、金門:金門県文化局、p. 1-19、2012。
所蔵機関
国立歴史博物館は、1955年に国民政府の台湾移転後初めての公共博物館として設立された国立歴史文物美術館を前身としており、1957年に、正式に国立歴史博物館と改称された。
所蔵資料は、初期には教育部から移管された戦後日本からの返還古物および台湾に移された旧「河南博物館」所蔵文物を基盤としていたが、その後各界のご厚意による寄贈や購入などにより年々その数を増し、現在は書画・版画・銅器・陶磁器など19種類5万件余りとなっている。 その顔ぶれは多彩で、古きもあれば新しきもあり、庶民性と日常性を備えている。これら貴重な資料は、すべて「国立歴史博物館所蔵資料検索システム」で見ることができる。