早春図
早春図
国家宝蔵
国宝紹介
北宋の郭熙による「早春図」は、紛れもなく山水画の古典的な作品である。高さ約160㎝の二重掛け軸に表装された(書画の本紙が、掛軸・帖などに仕立てられた)。絵画に描かれたのは、瑞雪が解け、霧が山林に漂い、大地がよみがえり、万物が芽生える早春の光景である。
郭熙は翰林図画院で芸術を学び、山水画が得意であった。この絵画に、「高遠」「深遠」「平遠」の三重の構図を巧みに使い、見上げる・見下ろす・平視の3点の角度からの視点がうまく配置された。さらに、范寛の山水画のような雄大な構図、および、李成の墨描き技法が融合され、「早春図」という巨作が完成された。
范寛による「谿山行旅図」 、郭熙による「早春図」、李唐による「万壑松風図」、これら三つの絵の共通点は、中央の山峰が並び立つ構図方式であることであり、そこに山々の雄大さが表現されたのである。後世の人々はこの3点の作品を「北宋山水三巨碑」と呼び、故宮博物院による「鎮院三宝」の名誉ある称号をも得て、2012年に国宝として指定された。
印章の認識
参考資料
- 倪再沁、「神画の形塑―故宮三宝について論じる」『典蔵古美術』第174期:(2007年)、ページ80-85。
- 李珮詩、〈印鑑の中の栄光&手がかり—『石渠宝笈』の三次編目と钤印などに関する記事〉、『典蔵古美術』第208期(2010年)、ページ84-93。
- 陳韻如、何炎泉執行編集、林柏亭監修、『大観:北宋書画特別展図録』、台北:国立故宮博物院、2006。
- 林柏亭編集、『国宝菁華:書画・図書文献編』台北:国立故宮博物院、2006。
- 蔡玫芬編集、『精彩100:国宝総動員』、台北:国立故宮博物院、2011。
- 劉芳如、浦莉安、陳韻如編、『鎮院国宝:范寛・郭熙・李唐』、台北:国立故宮博物院、2021。
所蔵機関
1925年10月10日に故宮博物院が設立された。中国清朝の皇室に収蔵されていた書画文物は数万点を数え、北京の紫禁城見学も一般開放された。1937年に日中戦争が始まり、故宮博物院の文物は南方に移転され、1945年戦後になりもとに戻った。1948年国共内戦のため、故宮博物院の所蔵品は台湾に移転され、台中霧峰北溝に一時的に保管された。その後台北外双渓に新館が建設され、1965年8月に完成し、11月に正式に外部に向けて開放された。そして2015年12月に、嘉義太保にある南院が正式に開館した。
故宮博物院のコレクションは、宋・元・明・清王朝の宮廷コレクションが元となっており、その後中央博物院準備処の運台文化財に統合された。収集・購入された文化財は約数十万点となり、続々とデジタル化された。それらのファイルは「故宮所蔵資料検索システム」に保管された。その中の一部の文化財のデジタルファイルは、すでに「オープンデータ(Open Data)」サイトに保存され、CC(クリエイティブ・コモンズ) に関し、適正な再利用の促進のために公共に向けて提供しています。