八弁花蓋立鳥円壺

八弁花蓋立鳥円壺

国家宝蔵

国宝紹介

八弁花蓋立鳥円壺と呼ばれる。同じ2つの形から、1対を成している。高さは63.6㎝、重さは12.3㎏、容積は約20,250mlである。中央研究院歴史語言研究所が1935年に、河南省汲県山彪鎮1号墓で発掘したものであり、出土時は「水陸攻戦紋鑑」という器物の中に置かれていた。この東周時代の壺と鑑の組み合わせは、墓の出土品の中でも、最も凝った鋳造品であり、紋様が最も精密な銅器であった。

銅壺のデザインは非常に凝っている。壺の蓋は透かし彫りの立鳥と蓮弁で構成され、立鳥は蓋の最上部から取り出すことが可能であり、両翼も取り外せる。同作品は2009年に、中華民国(台湾)文化部より国宝として指定された。

国宝鑑賞

この壷は長頸(長首)の形をしている。広腹・低圏足、双耳獣面の形となり、獣口に環をくわえている。
獣面は器壁とつながり、全体に均整を保ち安定した形をしている。器蓋は透かし彫りの立鳥と八の蓮弁を装飾し、本体から取り外し可能である。
壺体は銀白色である。青緑色の斑点があり、壁は薄くて均質に作られている。
帯紋を境に8層からなる紋様帯には、蟠螭紋を飾る。
十字花びら紋で埋められ、紋様は模印法(スタンプ紋)で作られ、押捺の痕跡がはっきりと見てとれる。
器体には4本の明瞭な直線が残っており、「分割範法」で作られている。この4本の線は、銅器を作る際、銅液を注入したのちに外した外範の接合部に残った痕跡である。

八弁花蓋立鳥円壺の蓋は八弁の蓮花を装飾とし、上に透かし彫りの立鳥がつく。いずれも取り外し可能である。

蓋を取り外し、壺内をのぞきこんだところ。

八弁の蓮弁の形に作られた花形の蓋

透かし彫りの蓮の花びらが外側に伸び、花が咲く美しい姿を表している。

蓋の真ん中に、立っている鳥が飾られている

猫耳、鉤嘴、首を上げ、翼をはためかせて鳴くような形状となっている。尾首、鳥身、翼、いずれも反転透かし彫りで、鳥身には極細紋様がある。
両爪は各4指(前3本後1本)となっており、円形の銅板上にたたずんでいる。両翼にはほぞがあり、鳥の本体から取り外すことができる。

壺の底

壺の底に十字の模様がある。

参考資料

所蔵機関

中央研究院歴史語言研究所は1928年に、中国の広州で創立されました。1948年冬に台湾に移転し、1954年に南港の現所在地に落ち着きました。本所はいくつかの学科で構成されており、歴史学・考古学・人類学・文字学などの研究分野が含まれています。本所の研究成果は、国内外の学界からも重視されています。

歴史語言研究所が所蔵する文物は合計14万点余りです。その中には、当所が中国大陸に所在していた時期に発掘・採集した考古遺物約12万点余りが含まれています。他には、居延漢簡が約1万点、中国少数民族文物と文書が2千点余りあります。他にも、内閣大庫明清文書約31万点が収蔵されています。

それらの所蔵を展示するために、1986年より歴史文物陳列館が設置されました。館内の展示は、伝統的な博物館が精品のみを陳列するのと異なり、学術研究成果を中心として展示されています。展示内容には、中国の商周から戦国時代までの遺跡から出土した文物・居延漢簡・貴重な図書資料・内閣大庫の明清檔案・中国西南部の民族文物・豊碑の拓片・台湾考古資料などが含まれています。文物展示と、歴史文物陳列館が主催するイベントを通じ、本所による長年の研究成果を、一般社会の方々とシェアできるようになっています。

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