人獣形玉玦

人獣形玉玦

国家宝蔵

国宝紹介

「人獣形玉玦」は国立台湾史前文化博物館に所蔵されており、同館の紋章でもある。

人獣形玉玦は、新石器時代の末期における重要な玉質装飾品である。一人と二人の区別があり、発掘時に耳もとから出土したため、耳飾りとされている。だが、一部の学者は髪飾りとすべきだという異なる意見を持っている。一般の人がつけられるのではなく、宗教や指導者の身分で装着することができる。器物部材であり、下の突起物は木器や骨器の接合ほぞ継ぎにはめ込めるという説もある。主に台東の卑南、宜蘭の丸山、台北の芝山岩などの考古遺跡に出土され、台南、屏東の史前遺跡でも発見されている。

その中で、1984年に出土し、2012年に国宝に指定された「人獣形玉玦」はペアであり、卑南遺跡の石板棺から出土した。材質は台湾玉(閃玉)で、玉器の材質は透き通っており、細工が精緻で、造形も非常に優美である。形も極めて独特であり、出土した数量は非常に少ない。

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国宝鑑賞

   人獣形玉玦は高さ70.1mm、幅39.6mm、厚さ4.5mm、重さ16.7gであり、台湾の玉片を彫刻したものである。造形は二人で並立しており、男女の区別がつかず、両手を腰に当て、両足を開き、膝に線の装飾がある。
   丸い頭蓋は「獣」、獣像は横向きの形であり、獣口の先端には小さな欠けがあり、それは小さな口を表している。頭部の先端に立ち上がった三角状の物体があり、それは起立状の耳である。獣は背を持ち上げ、尾は直立して立ち上がっている。ネコ科の動物のように、獣の四肢と人の頭に、はっきりした境界線がない。よく見ないと、人の頭を獣の前後肢と勘違いされる。獣の体には古いひび割れ、さらに補修穴が2カ所あり、古人がいかにこれを大切にしていたかが見てとれる。

小さな「獣形」の口は少々開かれ、耳を立て、背中を丸め、尾を上げている。簡単な線で正確な獣形が描かれ、生命の活力と躍動の美に満ちている。
膝には曲線のような修飾がある。足の膝が多少曲がっている柔軟性を示すだけでなく、膝の下にゲートル状のものを巻きつけている可能性もある。
二人分それぞれの足底が、一つの横条となっている。横条の下にそれぞれ一つの円突起があり、用途は不明。一部の学者はこれがほぞ継ぎで、人獣形の玉片を何かに立ちあげることが可能になると考えている。

参考資料

    1. 葉美珍、「史前珍瑶:卑南遺跡玉器」『文化驛站』31:P 47-53、2012。
    2. 葉美珍、黄国恩、「館蔵10件の文物小話:人獣形玉玦、溝付き石棒と徳氏水牛化石」,『史前館電子報』275、2014。
    3. 江美英、「台湾出土玉器の技と芸--古物分級を兼ねる」『美学と視覚芸術学刊』7:P 77-94、2015。
    4. 臧振華、葉美珍、『館蔵卑南遺跡玉器図録』、台東市:国立台湾史前文化博物館、2005。

所蔵機関

国立台湾史前文化博物館(以下「史前館」)の設立は、1980年の南回鉄道台東駅新築工事までさかのぼる。その工事の際に、台湾考古学史上最も完全な集落であり、さらには東南アジアおよび環太平洋地域最大の石板棺墓群を有する卑南遺跡が発見されたのである。

その発見にともなう文化資源保存の声に応え、史前館は3つのエリアから構成されている。①台東市康楽駅南側の康楽本館 ②卑南遺跡の現在地に建設された遺跡公園 ③台南市内の南部科学園区 ③の地点であるが、その地点は台湾南西部地区では考古学上最も完全な文化層(遺物・遺跡から形成された地層)を持つため、南科考古館が設立された。これらの地域の貴重な資料はすべて、「国立台湾史前文化博物館所蔵品情報システム」に展示されている。

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