帯刻辞鹿頭骨

帯刻辞鹿頭骨

国家宝蔵

国宝紹介

この出土品は、中央研究院歴史語言研究所が1931年に河南省安陽殷墟小屯で発掘した「帯刻辞鹿頭骨」である。考古学上、出土した刻辞を有する鹿の頭骨は、現在2点のみが残り、いずれも歴史語言研究所に所蔵されている。これは比較的完全な形で保存されており、鹿の角がついたままである。

甲骨文字の大部分は、亀甲や獣の骨に刻まれたのと同じ卜辞である。このような祭祀に関する記事刻辞が動物の頭骨に刻まれたものはまれである。記事の内容には、商王田猟の日付と場所が記載され、祭祀に関することが鹿の頭骨に刻まれている。2008年に中華民国(台湾)文化部により、国宝として指定された。

国宝鑑賞

現存する甲骨文字12字には、殷王が方国を征討した後、その帰りに「蒿」という地で狩りを行い、獲物を得て「文武丁」を祭ったことを記している。
刻辞は右から左に向かって、以下の3行が記されている。
戊戌王蒿(郊)田
文武丁𥘥(祼)
王來正(征)

参考資料

所蔵機関

中央研究院歴史語言研究所は1928年に、中国の広州で創立されました。1948年冬に台湾に移転し、1954年に南港の現所在地に落ち着きました。本所はいくつかの学科で構成されており、歴史学・考古学・人類学・文字学などの研究分野が含まれています。本所の研究成果は、国内外の学界からも重視されています。

歴史語言研究所が所蔵する文物は合計14万点余りです。その中には、当所が中国大陸に所在していた時期に発掘・採集した考古遺物約12万点余りが含まれています。他には、居延漢簡が約1万点、中国少数民族文物と文書が2千点余りあります。他にも、内閣大庫明清文書約31万点が収蔵されています。

それらの所蔵を展示するために、1986年より歴史文物陳列館が設置されました。館内の展示は、伝統的な博物館が精品のみを陳列するのと異なり、学術研究成果を中心として展示されています。展示内容には、中国の商周から戦国時代までの遺跡から出土した文物・居延漢簡・貴重な図書資料・内閣大庫の明清檔案・中国西南部の民族文物・豊碑の拓片・台湾考古資料などが含まれています。文物展示と、歴史文物陳列館が主催するイベントを通じ、本所による長年の研究成果を、一般社会の方々とシェアできるようになっています。

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