牛方鼎

牛方鼎

国家宝蔵

国宝紹介

牛方鼎と鹿方鼎は同じく、河南省安陽殷墟1004号商王大墓から出土した。器身の四面に、立体的な大きな牛の頭の紋様が鋳造され、四足の内外にも牛の頭の紋様が飾られている。器身の底部分には牛の形の銘文があるため、牛方鼎と呼ばれている。

牛方鼎は長さ64.2㎝、幅45.4㎝、高さ73.3㎝、重さ110㎏に達し、歴史語言研究所が殷墟で発掘した出土品の中で、最も重い器物である。銅器は商代における最も重要な「威信財」であり、このような大型青銅器を鋳造するには大量の銅材料、そして優れた鋳造技術が必要となる。したがって、このような大型かつ繊細な紋様の青銅重器は、商代では極めて珍しく、貴重である。2009年に中華民国(台湾)文化部により、国宝として指定された。

国宝鑑賞

鼎は長方形となっており、四足の足と二つの耳がある。口縁は外に向けて広がっている。器身の四隅と中央に扉稜がある。
鼎耳に夔龍紋で装飾されている。

        鼎耳の紋飾の拓片。
鼎腹の四壁に立体的な牛頭の紋様が装飾されている。牛の角の形から水牛と分かるため、牛方鼎と呼ばれている。牛首の両側に冠羽が舞い上がる猛禽が装飾され、その上には夔紋があり、隙間は雲雷紋で埋められている。
四足の円筒形となっており、牛頭紋と三角紋が飾られている。

牛の形をした銘文

器内から4つの穴が見えるため、鼎足は中空であることがわかる。底に牛の形の銘文が鋳造されている。

牛の形をした銘文。

牛の形をした銘文の拓片。

参考資料

    1. 考古資料デジタルデータベース
    2. 李永迪編、『殷墟出土器物選粋』、台北市、中央研究院歴史語言 研究所、2009。
    3. 陳永発編、『中央研究院数位所蔵精品図録』、台北市、中央研究院歴史語言研究所、2012。

所蔵機関

中央研究院歴史語言研究所は1928年に、中国の広州で創立されました。1948年冬に台湾に移転し、1954年に南港の現所在地に落ち着きました。本所はいくつかの学科で構成されており、歴史学・考古学・人類学・文字学などの研究分野が含まれています。本所の研究成果は、国内外の学界からも重視されています。

歴史語言研究所が所蔵する文物は合計14万点余りです。その中には、当所が中国大陸に所在していた時期に発掘・採集した考古遺物約12万点余りが含まれています。他には、居延漢簡が約1万点、中国少数民族文物と文書が2千点余りあります。他にも、内閣大庫明清文書約31万点が収蔵されています。

それらの所蔵を展示するために、1986年より歴史文物陳列館が設置されました。館内の展示は、伝統的な博物館が精品のみを陳列するのと異なり、学術研究成果を中心として展示されています。展示内容には、中国の商周から戦国時代までの遺跡から出土した文物・居延漢簡・貴重な図書資料・内閣大庫の明清檔案・中国西南部の民族文物・豊碑の拓片・台湾考古資料などが含まれています。文物展示と、歴史文物陳列館が主催するイベントを通じ、本所による長年の研究成果を、一般社会の方々とシェアできるようになっています。

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