蟠竜燭台

蟠竜燭台

国家宝蔵

国宝紹介

当展示品「蟠竜燭台」は、台湾で有名な交趾陶の匠、葉王の作品である。

葉王(1826-1887)は、清朝の道光年間に台湾の嘉義で生まれた。その作品は、造形が生き生きとしており、釉薬の色も豊かで美しいため、日本統治時代に日本人は当作品を見て、非常に驚いた。ついに、作品の流派は華南、ベトナム一帯の「交趾三彩」の軟陶システムに分類され、台湾のこのような彩陶は「交趾焼」(こうちやき)と呼ばれている。したがって、葉王は台湾で三百年来唯一の製陶名工と称賛され、交趾焼は一躍台湾の代表工芸となった。葉王はこのために、屈指の一代宗師とされた。

葉王の作品は、廟の建築に多く使われているが、残念ながら、台湾では地震や風害が多く、廟は頻繁に改修されるため、伝世の作品は非常に珍しい。この蟠竜燭台が特に貴重とされる主な理由は、寺院の建築装飾に付属しているのではなく、立体的で360度の角度から見ることができる、実用的な燭台器物となっているため。この作品は、葉王が義父に祝意を伝え、広間の机の上に長明という蝋燭をともし、日常生活に審美を宿す味わいを体現している。

これは燭台に対し、当時は窯炉の寸法や温度制御などの制限がかけられており、そのために燭台の塑形が完成した後に竜頭、竜爪、台座などの部材を別々に分けて焼成し、組み合わせた後に固定し、職人の製作力を十分に発揮したのである。

2016年、文化部はこの文化財を国宝として指定した。現在は国立伝統芸術センターに所蔵され、鎮館の宝として実体展が開催されているほか、開放博物館には「国宝蟠龍燭台-動画とデジタルメディア展」のオンライン展が開かれている。

国宝鑑賞

   葉王は、蛇行した長い蟠竜と柱状燭台を巧妙に合体させ、一対の蟠竜が首をひねって向かい合い、円柱が2周余り巻き付いている。
   釉薬色の組み合わせは、主に柱体の古黄と蟠竜の古青であり、2色の対比により蒼竜を際立たせ、また古黄柱に青緑色系の雲紋と潮紋が綴られ、対比の衝突を柔らかく減らした。
竜身は、胸が突き出て腹部が隠れ、竜爪は力強く、竜麟は鋭くはっきりしており、龍のたてがみは颯爽と舞い上がり、生き生きと見える。その間に、潮紋といくつかの瑞雲が飾られ、竜が天に昇り、海に降り、雲が雨を起こすという言い伝えの想像を反映している。
これは燭台の2匹の蟠竜に対し、1つの口が開かれ、1つの口が閉じられ、陰陽調和の遠想を象徴している。
白色の竜頭に、濃い黒色の竜目が組み合わせられ、ひときわ活力的に見える。最も興味深い点は、えんじ色により竜額と竜耳が部分的に装飾されている点。さらに、竜口、竜のたてがみなどの箇所で使った緑玉釉色に対比を強調させている点である。これらの要素が作品全体を、華やかな視覚効果と主従強弱によるリズムの趣で満たせている。
竜のひげの小さな赤い玉は、そよ風が吹けば、小さな玉が軽く揺れ、静的な燭台にダイナミックさを与えている。
葉王はこの蟠竜を作った際に、意図的に竜の全体を表現しなかった。竜身が曲がることで雲紋の装飾を施し、神竜が首を見て尾を見ないという神秘さを醸し出した。
古黄色の燭台の柱体、えんじ色に染まった竜脚の火炎紋、古青色の竜麟と潮紋、緑玉色の波紋は、燭台をより生き生きとさせている。これらの釉薬の色は、長い時間を経ても、鮮やかに残っている。
台座は獅子足により装飾され、邪気を鎮めて凶を避ける作用がある。

参考資料

所蔵機関

国立伝統芸術センター(略称「伝芸センター」)は2002年に設立された。当所の主な役目は、台湾伝統芸術の調査・保存・継承・普及を統一的に計画し、推進すること。管轄下には国光劇団・台湾国楽団・台湾豫劇団・台湾音楽館の4つの部門がある。

主に、伝統工芸・伝統演劇・伝統音楽・民俗上の祭日の式典・国楽・現代音楽などの文化財・曲譜原稿・脚本・ポスター・プログラムブック(演出に関する案内)・公演写真・インタビューの資料などを所蔵している。それらの豊富な資料は全て、「伝芸典蔵」サイトに掲載されている。

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